2020/07/12
膨張する中国企業の鉱物資源買収、豪加当局が「待った」
Jeff Lewis Melanie Burton
[トロント/メルボルン 5日 ロイター] - 鉱物資源が豊富なオーストラリアとカナダが、自国企業への中国国有鉱業会社による買収攻勢を警戒し、案件審査を厳しくしている。銀行関係者やアナリストによると、こうした規制強化が中国の買収熱に水を差し、産金業界の統合をもくろむ中国政府の役割にブレーキをかけるかもしれないという。
今年になって中国の山東黄金集団(600547.SS)(1787.HK)や紫金鉱業集団(601899.SS)(2899.HK)は、カナダ北極圏から南米、西アフリカに及ぶ相次ぐ事業買収を先導してきた。
カナダ政府とオーストラリア政府は最近、こうした中国政府系企業の投資への規制を強めている。新型コロナウイルス危機による経済混乱に乗じる形で国の戦略資産が買われやすくなっていると懸念しているためだ。
政府の指針改定で特定の国名は挙げられていない。しかしアルバータ大学中国研究所のゴードン・ホールデン所長は「懸念のほとんどは中国に対するものだ」と話す。
オーストラリアの産金会社アルタ・メタルズの買収を目指していた中国のゴールドシー・グループは6月、豪外国投資審査委員会(FIRB)がこの案件の審査にもっと時間をかける姿勢を示したため、計画を撤回した。
FIRBは6月、外国投資法の改定を発表。「機微な安全保障に関わる事業」に対する外国人投資家からの買収の意向については、案件の規模にかかわらず全てを精査するとした。4月にはリチウムやコバルトなど重要な鉱物資源部門への中国企業からの投資2件を阻止した。いずれも、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)バッテリーなどのハイテク分野や防衛装備に用いられる鉱物資源だ。
オーストラリア財務省の報道官は「我が国の外国投資の枠組みは開放的で透明性があり、受け入れに前向きだ」と述べた。
【URL】https://jp.sputniknews.com/science/202007127603920/